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足歩行、交易、産業の発展……すべて成功の鍵は「木」にあった!
ヒトはいかにして二足歩行を始め、文明を築き、驚異の発展を遂げたのか?
定説では、石・青銅・鉄が重要な役割を担ったとされている。しかし、じつは「木」こそが歴史をつくった最も重要な鍵だと著者は言う。類人猿の樹上の巣から、交易に活用された木舟、多様な建築技術、エネルギー源としての木炭まで、つぶさに語られる木の驚くべき汎用性を通して、今まで見えていなかった新しい歴史の姿が現れる。
人類学・建築学・生体力学など幅広い研究をもとに、構造的な特殊性をもつ木と、創意工夫に長けた人類の700万年にわたる関係を、斬新な視点で解き明かす壮大な物語。
「人類が直立二足歩行を進化させたのは、地上に降りたからではなく、木の上を歩くためだった。
石や青銅や鉄のかげで見落とされていた木に注目して、説得力ある新しい人類史700万年を展開した好著である」
――更科 功(古生物学者)
「木が人類の歴史を方向づけたことを立証した本書は、
木と生き、木を愛してきた僕たち日本人にとって、待望の"木の聖書"である」
――隈 研吾(建築家)
「人類史のほぼ全期間において、新たな呼称をつけるべきかもしれない。すなわち"木の時代"と」
――『ニュー・リパブリック』
「人類が"木"に対して、計り知れないほどの"借り"があることを示した驚くべき本。
本書は、まさに人類史の再解釈といえる。近代的な木造建築、森林伐採など幅広い話題を扱い、感嘆に値する」
――『サンデー・タイムズ』
「著者は古人類学を通じて、人類が森を出た理由と初期の技術開発について探究し、
社会史、建築、地質学、機械工学など、さまざまな分野の木に関する研究成果をまとめた。
本書は天然資源の問題が山積する現代において必読の、優れた歴史ノンフィクションだ」
――『カーカス・レビュー』
目次
第1部 木が人類の進化をもたらした(数百万年前〜1万年前)
第1章 樹上生活の遺産
第2章 木から下りる
第3章 体毛を失う
第4章 道具を使う
第2部 木を利用して文明を築く(1万年前〜西暦1600年)
第5章 森を切り拓く
第6章 金属の融解と製錬
第7章 共同体を築く
第8章 贅沢品のための木工
第9章 まやかしの石造建築
第10章 文明の停滞
第3部 産業化時代に変化した木材との関わり(西暦1600年〜現代)
第11章 薪や木炭に代わるもの
第12章 一九世紀における木材
第13章 現代世界における木材
第4部 木の重要性と向き合う
第14章 森林破壊の影響
第15章 木との関係を修復する
ローランド・エノス 著
生物学者。イギリス・ハル大学生物科学部の客員教授。動植物の工学的なしくみを研究する生体力学の研究者として、霊長類の木の使用法などを探究する。植物、生体力学、統計学に関する教科書を執筆するほか、自然史学、考古学、工学、建築などを幅広く研究。おもな著書に、ロンドン自然史博物館から出版されたTrees、おもな共著にPlant Lifeがある。イギリスのBBCやアメリカのPBSなどのラジオ科学番組に出演し、木に関する講演も多数行っている。